考察イベントは終わっても、コミュニティまで終わらせない
バーチャル&ハイブリッド
公開日
読了目安
9分で読める
視点
主催者

イベントは終わっても、コミュニティまで終わらせない

出来事は瞬間です。コミュニティは存続します。イベント間のギャップを埋めて人々の関心を維持します。

ZO
Zachary Oakes
創業者

イベント自体はすごく良かった。参加者の反応もよく、感想も前向きで、SNSも盛り上がっていた。ところが2週間後には静まり返る。1か月後には、作ったSlackチャンネルはもぬけの殻。3か月後には、参加者の半分はイベント名すら思い出せないかもしれない。これがイベントとイベントの間に起きる問題です。まずい内容、高すぎる価格、運営の粗さを合わせた以上に、この問題のせいでコミュニティは死にます。イベントそのものは火花です。その間に燃料を足し続けなければ、火は毎回きれいに消えます。

イベントのコミュニティが続かない理由

よくある流れはこうです。イベントが終わる。主催者がSlackやDiscord、LinkedInグループを作る。ステージから案内する。最初の1週間で参加者の60%くらいが入る。盛り上がりは10日ほどでピークを迎え、その後は次のイベントまで、ゆっくり確実に下り続ける。このパターンは何度も見てきました。振り返ると、原因はだいたいいつも同じです。

コミュニティが死ぬ一番の理由は、誰も世話をしていないからです。コミュニティは自然発生しません。ましてデジタル空間ではなおさらです。ちゃんと回していないSlackチャンネルは、ただの空き部屋です。投稿する人が必要です。返事をする人が必要です。質問を投げて会話を始め、新しい人を迎える人が必要です。その「誰か」は、有給のコミュニティマネージャーか、相当献身的なボランティアです。でも多くの主催者は、そのどちらにも予算を割いていません。

もう一つの理由は、参加者同士のつながりが継続的なものではなく、イベントという文脈に強く結びついていたからです。共通のセッションや廊下での会話で仲良くはなる。でもそのつながりは、特定の時間と場所があってこそ成立していたものです。それを保つ新しい共通体験がなければ、関係は結局「この前あのカンファレンスで会った人」に戻ります。これはコミュニティ戦略の失敗ではなく、ごく普通の人間の振る舞いです。ただ、その前提に立つなら、イベントの合間にも新しい共通体験を意図的に作る必要があります。

手間をかけすぎない非同期の関わり方

多くの主催者がやってしまうのは、何でも話せる万能コミュニティ空間を作ろうとすることです。「Slackを作ったので、何でも話してください」ではうまくいきません。そこに来る理由がないからです。仕事のSlackもある。友達とのグループチャットもある。すでに自分の所属コミュニティもある。そんな中で、なぜわざわざあなたのイベントのSlackを開くのでしょうか。

うまくいくのは、価値がはっきりしていて、負担の少ない、構造化された関わり方です。安定して結果が出やすいのは、たとえばこんなやり方です。

月1回の専門家AMA。 過去の登壇者の一人に声をかけて、48時間だけの非同期AMAをコミュニティ内でやってもらう。参加者は都合のいいタイミングで質問できるし、専門家も自分のペースで返せます。これなら覗きに来る理由が生まれ、本当に役立つ内容も出せて、イベントコンテンツとのつながりも保てます。

チャレンジ形式のお題。 「今月のチャレンジ: カンファレンスで紹介した[手法]を試して、結果を共有してください」。これなら、イベントで学んだことと実務のあいだをつなげられます。参加する人にはちょうどいい継続のきっかけになるし、読むだけの人にも刺激になります。どちらにせよ、世間話ではない話題がコミュニティに生まれます。

選別つきのリソース共有。 リンクを自由に貼る「面白い記事があったら共有してね」チャンネルではありません。あれはすぐに、誰も見返さないリンク置き場になります。そうではなく、「今週コミュニティで話題になったものを3つ」のような週次または隔週のまとめにする。価値があるのは選別のほうです。ネットの洪水を、そのコミュニティにとって意味のある細い流れに変えるわけです。

継続のルール

どの形式を選ぶにしても、頻度は決めたら徹底して守ることです。毎月第1火曜日に必ずやるAMAは、「たまにAMAをやります」より圧倒的に強い。継続は習慣をつくり、習慣はコミュニティをつくります。気まぐれな施策からは何も育ちません。

コンテンツを小出しにして、イベントを一年中生かす

イベントには使える素材が山ほどあります。セッション録画(それ自体で成立するプロダクトでもあります)、登壇資料、写真、印象的な一言、舞台裏のエピソード。多くの主催者はそれを全部まとめて一度に公開し、その後11か月は何も出せなくなります。食材を買ってきたその日に全部食べ切るようなものです。

代わりに、少しずつ出していくコンテンツカレンダーを組みます。イベント2週間後は基調講演の録画。4週間後はテーマ別に分けたブレイクアウトセッションの録画。8週間後はイベント会場で撮っておいた登壇者インタビューの「ディレクターズカット」。12週間後は写真・数字・ハイライトをまとめた振り返り記事。16週間後は来年に向けた最初の告知(「日程を空けておいてください」だけでも十分です)。

一つひとつの公開が接点になります。接点があるたびに、相手はあなたのブランドとまた関われる。数か月に分けて出せば、一度の一斉公開では切れてしまうつながりを保てます。しかも公開のたびにイベントサイトへ人を戻せるので、SEOにも効くし、頭の片隅にブランドを残し続けられます。

この小出し配信は、「なぜニュースレターに登録する必要があるのか」という問題にも答えてくれます。定期的に本当に役立つ内容が届くなら、単なる「早割販売開始です!」メールとは違って、購読者は残ります。6か月間ちゃんと価値を受け取ってきた読者は、古いリストに送る冷たい販促メールより、来年のチケット販売にずっと反応しやすい見込み客です。

過去の参加者をアンバサダーにする

いちばん強いマーケティング資産は、SNSの存在感でも広告予算でもありません。すでにあなたのイベントに来て、いい時間を過ごした600人の参加者です。頼み方がうまければ、その多くは同僚に喜んで勧めてくれます。でも、ひと押しがなければ、実際にはほとんど動きません。

そのひと押しはシンプルでかまいません。紹介した人も紹介された人も割引になる紹介コード。再参加者が見せられる「過去参加者」バッジや肩書き。内輪感のある特別な場をつくる、過去参加者向けの非公開チャンネルや先行コンテンツアクセス。

もっと強いのは、過去参加者を来年のイベントづくりに巻き込むことです。「来年はどんなテーマを見たいですか?」「誰に登壇してほしいですか?」というアンケートは、単なる市場調査ではなくコミュニティ参加そのものです。自分の意見がイベントに反映されたと感じた人は、受け身の参加者とは比べものにならないくらい、その成功に関わりを持ちます。自分ごとになるから、自然と広めてくれるようになります。

過去参加者スポットライト

毎月ひとり、過去参加者をニュースレターやコミュニティで紹介しましょう。登壇者でもスポンサーでもなく、参加者です。「昨年参加したサラさんは、そこで学んだことを使ってこんな成果を出しました」という形です。これで、あなたのイベントが大物ゲストだけでなく参加者そのものを大事にしていると伝わりますし、参加が現実の変化につながることも見えるようになります。

メールニュースレターか、コミュニティ基盤か

コミュニティをSlackやDiscordで作るべきでしょうか。それともメールニュースレターで十分でしょうか。答えはこうです。まずはメール。コミュニティ基盤は、そのあと必要なら。

メールがコミュニティづくりの手段として過小評価されがちなのは、相手に行動変容を求めないからです。人はすでにメールを確認しています。毎月ちゃんと価値のあるニュースレターなら、相手が普段いる場所に届くし、新しいアプリを入れてもらう必要もない。その到達率は、どのソーシャルプラットフォームのオーガニックリーチよりずっと強いです。

一方でコミュニティ基盤(Slack、Discord、Circleなど)は、エンゲージメントは高いけれど、運営の手間も大きい。本当に価値があるのは、能動的なモデレーションと定期的なコンテンツ提供を続けられる場合だけです。生きているコミュニティ基盤は、イベントの合間の関係維持にとても強い。でも、死んだコミュニティ基盤は、何もないより悪い。放置されていること自体が伝わってしまうからです。

現実的なおすすめは、まずメールから始めることです。リスクも手間も小さい。メールの反応が強く、開封率が30%を超え、返信も継続的に来ていて、さらに「話せる場がほしい」という声が出ているなら、その時点でコミュニティ基盤を重ねればいい。最初に場だけ作って、人が来ることを期待してはいけません。まずメールで需要を確かめて、それからコミュニティに進むべきです。

次回に向けて参加者を温めておく

イベントの合間の施策の最終目標はシンプルです。来年のチケット販売が始まる頃には、相手がすでに買う気になっていること。強引に売り込むからではありません。何か月も前からあなたのブランドから価値を受け取り続けていて、そのイベント参加が、続いてきた関係の自然な延長に感じられるからです。

このウォームアップの流れは、思っているよりずっと早く始まります。6か月前には来年のテーマや話題を少しずつ匂わせる。4か月前には日程と会場を発表する。3か月前にはコミュニティ向けに先に早割を開ける。この「先に出す」ことに意味があります。2か月前には登壇者を一人ずつ発表し、そのたびに接点をつくる。1か月前には価格改定や定員上限で切迫感をつくる。

こうした一つひとつの施策は、イベントの合間にも価値を届け続けてきたからこそ、すでに信頼している相手に送られるときに効きます。10か月沈黙したあとで「チケットを買ってください」メールを連打する、いわゆる冷えたリストへの一斉送信は、だいたい期待どおりに失敗します。ずっと放っておいた相手に、いきなりお金を求めているからです。(イベント直後の最初の大事なタイミングについては、イベント後のフォローアップで詳しく書いています。)

Kagibagが活きる場面

ここでKagibagのCRMとライフサイクル自動化が効いてきます。今年のイベント参加者は、エンゲージメント履歴、参加セッション、関心分野と一緒に、すでに連絡先データベースに入っています。コンテンツの小出し配信、紹介プログラム、次回に向けたウォームアップは、勘ではなく実際の参加者データから作ったセグメントで回せます。「AIセッションに参加したが、来年のチケットはまだ買っていない過去参加者」という条件は、ひとつのクエリで取れるものであって、別プロジェクトではありません。そしてチケット販売が始まる頃には、相手にはすでに継続して接触できています。今年のイベント後の立て直しで手一杯でも、自動化が裏で仕事をしてくれるからです。

イベントは終わっても、コミュニティまで終わらせる必要はありません。あなたが運営しているのがコミュニティイベントでも、カンファレンスでも同じです。コミュニティは放っておいて維持できるものではなく、計画と頻度、それからイベントがない数か月にもちゃんと顔を出し続ける人が必要です。イベントの合間の関係づくりに投資する主催者は、翌年のチケットをたくさん売れるだけではありません。もっと大きなものをつくっています。ひとつのイベントを超えて、人が自分の居場所だと感じ、貢献し、割引コードがあるからではなく本当に戻りたくて戻ってくるコミュニティです。

イベントタイプ別

Kagibagがカンファレンス、プライベートイベント、コミュニティミートアップ、スポンサー収益化などをどう支えるかを見られます。

自分のイベントタイプを見る
比較を見る

Kagibagと18のイベントプラットフォームを、価格・機能・率直なおすすめ込みで比較できます。

プラットフォームを比較

イベントを企画する準備はできていますか?

Kagibagなら、チケット販売、登壇者管理、スポンサー管理、チェックイン、マーケティングまで一か所で扱えます。

企画を始める